暖簾 のれん

2月ですが温暖な日が続いています。日によって風向きが変わり、換気で開けた窓際のカーテンや暖簾が揺れています。そんな暖簾についてのコラムを紹介します。
 
住まい再考14暖簾
 
 西洋では、厚い壁で間仕切りするところを、日本では、軽くてしかも動く、襖や商事を壁代りに用いてきたのが大きな特徴でした。
 これは開放的な生活をするための知恵でしたから、格子・すだれ・暖簾という風な、さらに軽く住空間を区切る方法が考えられてきたことにもうなずけます。中でも一枚の布による暖簾は、軽いことにおいてまたソフトな点においてこれらの最右翼でありましょう。特に素晴らしいことは、生地色彩、意匠等大変に自由さがあって、日本的な機能と内容を持っていることです。ですから、暖簾は様々な場に用いられながら、その場その場で、機能を果たしながら、日本的な雰囲気を漂わすことに有効なのです。
 また暖簾に文字や商標などが染め抜かれると単なる間仕切り、目隠し、日除けから看板の役目を果たし、さらに家業の大事な顔の意味を持つことになるのです。暖簾分け、暖簾を傷つける、暖簾を下ろすという言葉を通して、軽い暖簾の持つ重い役目を知ることができます。
 
 暖簾の歴史は、古く平安時代の几帳や、禅家で冬の間、すき間風を防ぐために用いた垂れ幕からとも申されます。
暖簾の種類は、
○長暖簾・人の背丈ほどの長いものを出入口に掛けます。
○半暖簾・長暖簾の半分位のもので一般的に出入口に用いられています。
○水引暖簾・商家の軒下に横長に掛け、屋号、商標などを染め抜いて看板代りに用います。
○床暖簾又は座敷暖簾・店と奥の部屋との境に目隠しに掛けます。
○くぐり暖簾・入口や店から通じるとおり庭境等に用います。
○太鼓暖簾・店前の日除け用に用います。幅180cm・たれ200cm~300cm位の布をはぎ合わせたもの。上は軒に掛け下は地面にせり出して重しで固定させます。
 
 暖簾の布地は、麻・木綿・科布・絹等が使われます。麻は夏向きの素材かもしれませんが、透けて来客がわかりやすいため、冬でも用いられます。麻は白くさらさない生麻を用いることが普通です。
暖簾の色
 現在は布地の色は好みによって決められます。
 紺・藍は昔から暖簾の代表的な色で、堅実な風格が漂います。白地や茶色も一般的に使われます。

 

降幡廣信

 
 

【住まい再考】
信濃毎日新聞掲載の過去のコラムです。