民家に見る日本の構造

 日本の建築は木造であるということが大きな特徴です。
どうして木造でなければならなかったのか、その理由は、
 
○我が国は森林国で、良質の木材が身近に、しかも豊富にあった。
○高温多湿の、日本の夏の生活に木材が適していた。
○地震に対して、構造的に木材が最も適していた、からなのです。
 

 そこで、木曽大滝村の地震により、地震に対する関心が高まっている昨今、地震と関係の深い日本の構造について考えてみましょう。
俗に、日本の建築は「柱」の建築。西洋の建築は「壁」の建築と言われています。この言葉は両者の構造の違いをたん的に表現していて、大変興味ある言葉です。
 

 日本の木造は、垂直な柱に対して水平な梁や桁などによって骨組ができています。壁の中も貫と云う水平な材料が骨です。このように垂直材と水平材とによる構造は、外力に対して変形しやすい構造なのです。
 

 西洋の建築は壁の建築と云われるにふさわしく、レンガ造りや石造りは元より、木造であっても壁に斜めの材料を入れて変形を防ぎながら、柱と壁との一体化が計られ、変形を起こしにくい強固な構造となっているのです。
ですから、日本の木造は、地震に対して変形しながら揺れる構造であり、西洋の木造は変形しにくい構造ということになります。変形しにくい構造はたしかに耐震構造には違いありません。
 

 しかしながら、最新の超高層のビルには、揺れる構造がとられています。地震の力をまともに受け止めずに、揺れながら力を逃がしてしまう方法です。風に枝を流して折れるのを防ぐ、柳の木の方法でもあります。これは正しく揺れながら身を守る昔からの日本の木造の方法なのです。日本の建築は、地震を何百回も体験しながら、それに耐える構造を生み出し、地震に揺れながら耐えて、揺れの耐震構造を身をもって実証してきたのです。
 

 150年も200年もの間地震に耐えて、なお限りない余力をもった古い民家を見る度に、揺れの構造の最たるものを見る思いがします。

降幡廣信

 
 

【現代の住まいを考える】【004】 民家に見る日本の構造
信濃毎日新聞掲載のコラムをご覧頂けます。
コチラの記事は過去のものです。