外観

人の顔形が違うように、家の外観もそれぞれ違っています。それは、家のおかれる環境の違いや、住む人の生活の違い、そして好みの違いがもたらす当然の結果なのです。
 
外観は人でいえば「顔」に当るはずです。人が顔を大切にするように、住宅の外観は誰でもが大変気を配るところです。
家の外観は、屋根と外壁によって形成されています。しかし、家の内容とも無関係でないということに留意すべきです。日本人の好みから言えば、控え目で簡素単純でありながら、品位を備えたものであるべきです。
西洋住宅の外観は、左右対称の美と縦線が強調されているものが好まれてきました。和風住宅では、左右が非対称のアンバランスの美と、横にのびる拡がりが好まれてきたのです。
 
屋根
屋根の形は外観を大きく変え、表情を左右するところです。特に日本という国は、日差しが強い上、雨が多いところであるために、屋根は心血が注がれてきました。そしてそこに日本人の生活の知恵が生き、大変特徴のあるものになっているのです。
屋根は、切妻・寄棟・入母屋等その形により、又、瓦・鉄板・スレート等の葺材料により、さらに屋根勾配により表情が大きく変わってきます。特に、雨や日差しが日本の屋根の軒の出を多くし、軒裏の処理に日本の屋根の特徴をかいま見ることができるのです。
 

日本の夏が蒸し暑いこともあって、日本人の住まいは、開口部(窓や出入口)を大きくとって通風をよくし、庭や外の景色を室内に取り入れる工夫がなされていました。
それに対して西洋では、開口部は小さくして、壁面を多く閉鎖的にしているのが特徴でした。
近年日本の住宅も、壁面がめっきり多くなりました。この外観と壁と開口部との取り合わせ、そして屋根とのバランスが、家の「顔」の表情を造り上げているのです。

降幡廣信

 
 

【住まい ワンポイントシリーズ】【02】 外観
信濃毎日新聞掲載の過去のコラムです。