収納の場所

収納の場所というのは、物をしまっておく場所で、納戸、押入、戸棚、たんす等の家具がそれです。これら収納の場所のあつかいいかんが、家庭生活をどんなに快適にするか、計り知れないものがあります。

 
我々が生活するのには、生活に適した設備や道具を必要とします。
これらを大別すると、①衣類・はき物、②食器・調理具、③書籍・書類、④家庭用雑物等になりましょう。
我々の生活はますます豊かになる中で、家庭の持物は年毎に増えて参ります。二、三年前までは充分であった収納の空間が、今はもう狭くなっているという風に、物が増えた割に、これらの整理がうまくなされていないのが実情のようです。
 
住宅においては、持物に合わせて必要な収納空間を用意するのが普通です。しかし、物がふえ続ける一方で、居住面積に限りのある場合は、逆に住まいの中の収納空間に合わせて持物を整理する考え方も必要であります。
 
「収納のポイント」
収納ということは、物をなんでも押し込めてしまうことではありません。使うときに、すぐ取り出せるように整理して収納することが大切なのです。
 
そのためには
⓵不要品は積極的に処分する。不必要なものが、狭い収納空間に収まっているのでは、必要なものの入る場所がなくなります。
⓶いっしょに使うものは、一ヶ所にまとめる。同時に使用するものを、別々のところから出し入れすることは、無駄な労力をつかうことになります。
⓷同じ寸法のものを同一場所にまとめる。違った寸法のものを同じ場所にしまうと、無駄な空間が残ります。
⓸家族のことも考える。子供に危険を及ぼさないように、老人にも楽に出し入れができるよう配慮する。
⓹品物をいためないことに注意する。変質したりいたみやすいものゝために、防虫、防湿、防熱、防じん等の対策が必要です。
 
なお収納の場所は、ねずみの通路や生息の場になりやすい処です。ねずみ対策にも配慮すべきでしょう。

 

降幡廣信

 
 

【住まい ワンポイントシリーズ】収納の場所
信濃毎日新聞掲載の過去のコラムです。