寝室

我々人間の家は、鳥や動物の巣と同じように、子供を生み育てることと、休息就寝を目的としたものに外なりません。
そして、住宅における、生活の基本にかゝわる休息就寝の直接の場が、実は寝室なのです。そういう場でありながら、我国では、昔からなおざりにされて来たように思えてなりません。
寝室は、個人生活の場であり、睡眠・休息の場でありますから、他からの刺激を受けない静粛さと、プライバシーの確保が可能でなければなりません、そこで、独立性の高さが要求されることになるのです。
 
寝室には、和室と洋室の二つのタイプがあります。その違いは、布団を敷くことと、ベッド式との違いになります。これは、家族の生活習慣や好みによってきめられることです。
 
○和室。和室の特徴は、毎日布団を押入れに収納できるため掃除がし易く、清潔さを保てることです。そして、昼間は居間に夜は寝室にというように、時間によって使いわけができる特徴をもっています。ですから、狭い住宅で、家族構成にあった個室がとれないときは、融通性のある和室が有効でありましょう。
 
○洋室。洋室は壁が多く閉鎖的で出入り口がドア一枚という間取りがとれるため、独立性の高い部屋がとり易いのです。たゞし、ベッドは布団より場所をとるため、面積も広く必要とします。又、常時ベッドが置いてあるため、清掃のしにくい難点があります。
 
寝室の広さと位置
○和室。一人の布団を敷ける広さでは3帖もあれば充分です。夫婦の場合二組の布団と家具のスペースを見込めば6~8帖は最低必要です。理想は何度に家具を収めて寝室だけに6~8帖確保したいものです。
 
○洋室。ベッド・メーキングが無駄なくできる広さと、家具類のおける広さが必要です。夫婦の寝室としては、最低8~10帖必要でしょう。
寝室の位置は、最もプライバシーの要求される部屋ですから、家の奥が最適です。又、騒音や振動ある道路・食事室・台所等から離れた静かなところがよいのです。その上、浴室や便所に近いところが理想でしょう。

降幡廣信

 
 

【住まい ワンポイントシリーズ】【08】 寝室
信濃毎日新聞掲載の過去のコラムです。